
“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の要諦再読―その15―
“シリーズ21世紀の未来社会(全13章)”の
◆要諦再読◆ ―その15
―
今こそ近代のパラダイムを転換する
―21世紀の未来社会論構築のために―
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要諦再読 ―その15―
“今こそ近代のパラダイムを転換する”
(PDF:604KB、A4用紙12枚分)
未踏の思考領域に活路を探る
「菜園家族」とは、大地から引き離され、自立の基盤を失った現代の「賃金労働者」が、自立の基盤としての「菜園」との再結合を果たすことによって創出される新たな家族形態のことである。それはつまり、大地から遊離し根なし草同然となった不安定な現代賃金労働者(サラリーマン)が、大地に根ざして生きる自給自足度の高い前近代における「農民的人格」との融合を果たすことによって、21世紀の新たな客観的諸条件のもとで「賃金労働者」としての自己を止揚し、より高次の人間の社会的生存形態に到達することを意味している。
シリーズ“21世紀の未来社会(全13章)”で提起した、生命系の未来社会論の具現化としての「菜園家族」社会構想※1 を、懐古趣味的アナクロニズムの妄想として一蹴するのは簡単ではあるが、それでは人間の存在自身を否定する、非正規労働という身分保障もない差別的低賃金の不安定雇用が蔓延する今日の事態を乗り越え、非人間的で非人道的な現実をどうするかの解答にはならない。これに答えるためには、結局、近代の所産である「賃金労働者」という人間の社会的生存形態が、はたして永遠不変のものなのか、という根源的な問いに行き着かざるを得ないであろう。
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