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Nomad image『四季・遊牧』上映会&「菜園家族」構想の
  講演・学習会(2013年)

a DVDダイジェスト版『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』上映会 in 帯広
 (北海道・帯広競馬場横「とかちむら」 4月20日)


 2013年4月20日(土)に、北海道は帯広市の小林志歩さんたちの企画で、DVDダイジェスト版『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』の上映会が開かれました。
 小林さんは、2002年から数年間、NPO法人主催のスタディーツアーのスタッフとして、モンゴルの遊牧地域アルハンガイ県チョロート郡ハイルハン・バグ(村)を訪れ、それを機縁に旅のお仲間とともに「ハイルハンバグ子ども応援奨学金の会」をつくり、その会の代表として、経済的事情で小学校に行くのが困難な村の子供が学校に通えるよう、支援活動をされています。  この作品を昨2012年に鑑賞された米丘洋子さんとの出会いもあって、このたびの上映会実現の運びとなったそうです。

 今回の上映会の会場は、帯広競馬場横の観光施設「とかちむら」に期間限定で設営されているゲル(パオ)。
 午前中にダイジェスト版の前編(1時間40分)を鑑賞。ホ―ショール(揚げ餃子)とバンシタイ・シュル(水餃子入りスープ)といったモンゴル料理の昼食をはさみ、午後は後編(1時間40分)を上映。モンゴル国、内モンゴルの方々を含む、子供からお年寄りまで合計21人で、映画を楽しんで下さったそうです。
 スクリーンのすぐ後ろにハナ(ゲルの壁に相当する。木製の格子状伸縮ラティスのような形状)があり、スクリーンに映し出されたゲルの中で語っているツェルゲルの人々と、あたかも同じゲルの中にいるような錯覚を覚えたとのことです。

 上映後には、ご参加者のみなさんで感想を語りあったそうです。翌日、小林さんがご感想を取りまとめてお送り下さったE-mailから、以下に掲載させていただきます。

  ―   ※    ―   ※   ―    ※   ―

・モンゴルの人々は、狩猟民族なのだと感じた。アイヌ文化と重なるように感じながら見ました。子どもの頃に、ヤギの乳しぼりをしたことを思い出した。後ろからでなく、横から搾っていた。牛乳と比較できないほど脂が濃かったっけ。

・生きていく、ということはたいへんなこと。小さい子から家族みんな、そう。

・お酒を飲むとき、天と大地に捧げる習慣があるが、やはり大地に生きていると感じた。子どもが泥だらけになって走り回って、たくましく育っていくのがモンゴルらしく、子どもの頃を思い出した。現在の内モンゴルではパオもなく、定住しているが、オトルに行く。自分のルーツを感じた。(内モンゴルの方の感想)

・とても大変な生活。でもこれは事実。現在は、遊牧地域でも太陽光発電や携帯電話が普及して、少し生活はよくなっていると思う(モンゴル国の方の感想)

・私はアルハンガイで生まれ育ち、田舎で生活したことがあるが、もっと森林や緑が多いので、大変そうに見えた。ラクダの乳製品など同じモンゴルでも違いがあるので、興味深かった。(モンゴル国の方の感想)

・感動のドラマでした。生きることが、仕事。強い力を感じる。日本のひ弱な若い人たちに見てもらいたい。心がさみしい人がいっぱいいるので。小さい頃、大雪のとき、馬に乗って学校に通ったのを思い出した。

・以前訪れたモンゴルのハイルハン村を思い出して、心が温かくなりました。

・人間の生きる原点のように感じた。アイヌの人たちがヤブマメを食べものだと教えてくれたり、そういう知恵をもっと皆に教えればいいと感じた。うちでは「今日はモンゴルに行こう」と言ってこの作品のDVDを時々見ます。

  ―   ※    ―   ※   ―    ※   ―

 E-mailの末尾には、小林さんご自身の思いが綴られていました。
「私自身は、2002〜2007年までスタディツアーをしていたハイルハン村で地域の人たちと交流したときのことがよみがえり、思わず涙が出てしまいました。
 特に、遊牧民協同組合ホルショーの結成会議に集う人々の場面です。私たちもツアー期間中に、地域の問題を共に考える会議を住民に集まってもらっておこなっていました。みな張り切って集まってくれるのですが、和やかに話していたはずが、ケンカが勃発したり、毎回色々あったなあ…と久々に思い出しました。
 私たちが初めて訪れた2002年には、ハイルハン村でもホルショーが組織され、地域に小学校(4年まで)があったのが、数年のうちに地域の精神的支柱であったリーダー(元ネグデル長でもありました)が亡くなりうまく機能しなくなり、学校が閉鎖され・・・と、地域のつながりが急速に失われていった時期でした。今回の映画を見て、モンゴル各地できっとそうであっただろう歴史的背景についても、改めて学ばせていただきました。
 作品を通じて、制作された小貫先生や伊藤さんの思い入れや視点、祈りのような思想がひしひしと伝わって来ることが、この映画を、人々の生活の貴重な記録以上のものにしていると感じました・・・・・・」。

 ツェルゲル村での1年間の越冬調査から20年も経った今も、こうしてこの作品をご覧くださり、その世界を大切に思って下さる方々がおられるということは、制作者の私たちにとってこの上ない幸せです。心のこもった、あたたかな上映会をありがとうございました。(伊)

 

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