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大学での講義

Nomad image「菜園家族」構想の研究

 


I
       菜園家族宣言

      ― 人間復活の高度自然社会へ ― 

         小貫雅男・伊藤恵子

          2010年5月1日

    (大幅加筆・改訂 2010年12月8日)
 

               ■「菜園家族宣言」(全文)の
                 PDFダウンロード(794KB、A4用紙92枚分)

2010年5月1日の公表以来、9回にわたり改訂を重ねてきました。
 全国各地の様々な分野の方々から、貴重なご意見やご感想 Nomad image をいただき、ありがとうございます。            (2011.3.9更新)

 世界規模での社会閉塞の恐るべきスパイラルの中、政・官・財、マスメディアによる圧倒的情報量をもって、一方的に喧伝される「新成長戦略」や唐突にも持ち出されてきたアメリカ主導のTPP。
 私たちは今、装い新たにまたもや登場してきたこの「構造改革」路線について、本当のことを知らされぬ間に、くにのかたちを土台から揺るがされかねない、重大な歴史的岐路に立たされています。

 21世紀の社会構想を提示するこの「菜園家族宣言」が、明日を探る豊かな議論へのささやかなきっかけになればと期待しています。
 とりわけ若者にとって、今は苦しくとも、せめて未来を熱く語り合える、そんな生き生きとした希望の時代になればと願っています。

 ご感想やご意見をお寄せ下さい。

― 目 次 ―

 はじめに

1 今日の破局的事態を招いたものは何か
   私たちは今、どんな時代に生きているのか
  「二つの輪が重なる家族」が消えた
  「高度経済成長」以前のわが国の暮らし
  「家族」と「地域」衰退の原因とその再生への基本原理

2 あらためて根源から考える ― 人間とは、「家族」とは何か
  「家族」の評価をめぐる歴史的事情
   人間の個体発生の過程に生物進化の壮大なドラマが
   母胎の中につくられた絶妙な「自然」
   人間に特有な「家族」誕生の契機
  「家族」がもつ根源的な意義
   人間が人間であるために

3 二一世紀の社会構想
   週休五日制のワークシェアリングによる「菜園家族」構想
   世界に類例を見ないCFP複合社会 ― 史上はじめての試み
   “菜園家族群落” による日本型農業の再建
   地域共同の土壌と草の根民主主義の熟成 ― 森と海を結ぶ流域地域圏
   今こそパラダイムの転換を ― 未踏の思考領域に活路を探る
   人間の新たな存在形態が、二一世紀の社会のかたちを決める
   自然界の原理と二一世紀未来社会

4 いのち輝く「菜園家族」
   ふるさと ― 土の匂い、人の温もり
   土が育むもの ― 素朴で強靱にして繊細な心

5 自然循環の分かちあいの世界へ
  『日本列島改造論』の地球版再現は許されない
  「菜園家族」の創出は、地球温暖化を食い止める究極の鍵
   低炭素社会へ導く究極のメカニズム ― CSSK方式
   CFP複合社会への移行を促すCSSKメカニズム
   CSSK特定財源による人間本位の公共的事業
   本物の自然循環型共生社会をめざして 
   CFP複合社会を経て高度自然社会へ ― 労働を芸術に高める

6 苦難の時代を生きる
   今こそ「成長戦略」の呪縛からの脱却を
   いまだ具現されない“自由・平等・友愛”の理念
   スモール・イズ・ビューティフル ― 巨大化の道に抗して

7 それでは今、私たちは何からはじめるべきか
   一つの具体的「地域」典型から、今何をなすべきかを考える
   市町村における地域再生の本当の鍵は、農業・農村問題の解決である
   地域社会には、今こそ精密検査による根本的な原因療法がもとめられている

 むすびにかえて ― いのちの思想を現実の世界へ    

<添付資料>
 【提 言】
   あらためて戦後六五年の歴史の中で甲良の未来を考える
       ― 40年先の2050年を見すえて

                       小貫 雅男
(『甲良町新総合計画 2010〜2020』―発行 滋賀県甲良町、2010年4月― に所収)


                        2010年5月1日
                  (一部加筆・訂正 2010年5月11日)
                  (大幅加筆・改訂 2010年5月29日)
                  (一部加筆・改訂 2010年6月25日)
                  (一部加筆・改訂 2010年8月6日)
                  (大幅加筆・改訂 2010年8月25日)
                  (大幅加筆・改訂 2010年9月19日)
                  (一部加筆・改訂 2010年11月1日)
                  (大幅加筆・改訂 2010年12月1日)
                  (9回目の改訂  2010年12月8日)

                    琵琶湖畔、鈴鹿山中大君ヶ畑にて

                         小貫雅男
                         伊藤恵子

                里山研究庵Nomad

                〒522-0321 滋賀県犬上郡多賀町大君ヶ畑452番地
                TEL&FAX:0749−47−1920
                E-mail:onuki@satoken-nomad.com
                http://www.satoken-nomad.com/


■以上「菜園家族宣言」(添付資料を含む)の
    PDFダウンロード(794KB、A4用紙92枚分)


2010年5月1日の公表以来、全国各地の様々な分野の方々から、貴重なご意見やご感想(2011.3.9更新)Nomad image をいただき、ありがとうございます。
 5月29日には、新たな項目
「『日本列島改造論』の地球版再現は許されない」「CSSK特定財源による人間本位の公共的事業」など、大幅に加筆し、章立ても編成し直しました。
 その後、6月25日には、新たな項目
「“菜園家族群落”による日本型農業の再建」を加えたほか、菅新政権の発足という新しい情勢を踏まえ、若干の加筆をおこないました。
 8月6日には、項目「自然界の原理と二一世紀未来社会」「スモール・イズ・ビューティフル ― 巨大化の道に抗して」を中心に加筆をおこないました。
 さらに、8月25日には、新たな項目「地域共同の土壌と草の根民主主義の熟成 ― 森と海を結ぶ流域地域圏」を加えたほか、「スモール・イズ・ビューティフル ― 巨大化の道に抗して」を中心に大幅に加筆しました。その上で、本論のサブタイトル「21世紀のレボリューション」を「静かなるレボリューション」に変更しました。
 9月19日には、コアとなるべき章として
「2 あらためて根源から考える ― 人間とは、『家族』とは何か」を新たに設けるとともに、関連して他の箇所にも若干の加筆をおこないました。 
 11月1日には、「はじめに」を全面大幅に加筆、特に社会の転換期にもとめられる「地域研究」の今日的役割とその意義に触れました。
 12月1日には、新たな章
「7 それでは、私たちは何からはじめるべきか」を追加設定するとともに、関連資料として、提言「あらためて戦後65年の歴史の中で甲良の未来を考える」(『甲良町新総合計画 2010〜2020』―発行 滋賀県甲良町、2010年4月― に所収)を本論の末尾に<添付資料>として収めました。 
 今回の
12月8日付のこの改訂版では、新たな章「4 いのち輝く菜園家族」を追加設定することによって、「菜園家族」が一般的、抽象的概念におわることなく、できるだけ生きた情景として具体的にイメージできるよう配慮したつもりです。  
 今後とも、読者のみなさんからお寄せいただくご感想やご意見をできる限り参考にして、さらに改訂を重ねながら、よりよいものにしていきたいと願っています。



「菜園家族」構想の内容をさらに深めたい方は、下記の書籍を
ご一読ください。

『菜園家族レボリューション』現代教養文庫(小貫雅男、社会思想社、207頁、2001年)
『森と海を結ぶ菜園家族 ―21世紀の未来社会論―(小貫雅男・伊藤恵子、人文書院、A5判・448頁、2004年)
『菜園家族物語 ―子どもに伝える未来への夢―(小貫・伊藤、日本経済評論社、A5判・371頁、2006年)
『菜園家族21 ―分かちあいの世界へ―(小貫・伊藤、コモンズ、四六判・256頁、2008年)


II 「菜園家族」構想に関する著作

a. 最新刊ブックレット
 『森と湖(うみ)を結ぶ 菜園家族 山の学校』
        (小貫雅男・伊藤恵子 共著、里山研究庵Nomad、2009年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

b.『菜園家族21―分かちあいの世界へ―
               (小貫・伊藤 共著、コモンズ、2008年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

c.『菜園家族物語―子どもに伝える未来へに夢―
              (小貫・伊藤 共著、日本経済評論社、2006年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

d.『森と海を結ぶ菜園家族―21世紀の未来社会論―
               (小貫・伊藤 共著、人文書院、2004年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

e.文庫版『菜園家族レボリューション』
                (小貫雅男、社会思想社、2001年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

       ☆「菜園家族」構想に関する拙著への
       ご感想・書評・紹介・論考など☆

 「菜園家族」構想についてこれまでに刊行した拙著に対して、新聞・雑誌・ウェッブ上で、数々の書評・紹介などが掲載されています。また、この「構想」をめぐる論考も、さまざまな分野の方々によって展開されています。
 この「構想」を多角的に考えてゆく上で、ご参考になればと思い、それらの中から主なものを、こちらに順次、掲載してゆきます。
 ぜひ、ご覧ください。

☆みなさんのご感想も、ぜひ、里山研究庵Nomadまでお寄せ下さい。
 お待ちしています!☆

III “菜園家族の学校” in 滋賀県立大学(2003〜2004年開催)

a. パンフレット『“菜園家族の学校”について』(2003年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

b.「菜園家族」構想について(上記パンフレット所収、2003年)

 

 人間を大地から引き離し、虚構の世界へとますます追いやる市場競争至上主義の“拡大経済”に、果して未来はあるのでしょうか。ここに提起する“大地に生きる”人間復活の唯一残されたこの道に、“菜園家族レボリューション”の思いを込めたいと思います。

(『菜園家族レボリューション』「プロローグ」より)

流域循環と高度経済成長
 日本列島を縦断する山脈。この山脈を分水嶺に、太平洋側と日本海側へと走る数々の水系。この水系に沿って、かつては、森と海を結ぶ流域循環型の美しい地域圏が形成されていました。この地域圏の中で、農業も林業も漁業もともに有機的な内的連携を相互に保ちあって、流域循環型の自立した地域社会を長い長い歴史をかけて築いてきたのです。

 ところが、戦後1950年代の半ばからはじまる高度経済成長は、わずか20年足らずの間に、列島を覆っていた森と海を結ぶこれら個性豊かな流域循環型の地域圏をズタズタに分断し、森の過疎と平野部の過密を出現させました。農業や林業や漁業といった第一次産業を犠牲にして、工業を極端に優遇する政策によって、工業や流通・サービスなど第二次・第三次 産業を法外に肥大化させてしまったのです。その結果は、極限に人工化された公害に悩む巨 大都市の出現と、荒れたまま放置された森林資源に象徴される国土の荒廃です。今、第二次・第三次産業は、絶対的な過剰雇用・過剰設備の極限状態に達し、我が国は、莫大な不良債権と巨額の国債を抱えたまま、身動きのできない状況に陥っています。

混迷と閉鎖状況
 こうした中、小泉政権は、不良債権処理を加速させ、リストラを進めようとしています。しかし、それによって生ずる大量の失業者を吸収する新規産業などは望むべくもなく、デフレスパイラルの危険に絶えず晒されています。しかし対策はまったくの手詰まり状態です。まさに 日本経済は破局寸前に来ています。小泉政権の主張する“構造改革なくして、景気回復なし”も、今となっては虚ろに響くだけです。

 それにしても、景気回復の後に、どんな未来社会が想定されているのでしょうか。それはどうも当然のこととして、私たちが今日まで突き進んできた市場競争至上主義のアメリカ型“拡大経済”の社会であるようです。

 しかし今や、戦後日本の“拡大経済”を可能にしてきた国際環境も、大きく変化しました。そして国内の客観的主体的条件も失われてしまった今、果してこの路線を再び辿ることが可能 なのか、それ自体が極めて疑問です。仮にも、この上浪費を奨励して、景気回復を果したとしても、自然環境や地球資源からして、自ずと“拡大経済”には限界があるのです。

 また、小中学の不登校の生徒数が、年間13万9千人と10年前から倍増し、年間の自殺者数が3万に達しているという事実からしても、いかにこの“拡大経済”が非人間的で耐え難いものであるかが分かるはずです。それでもこの“拡大経済”に固執しようとしていること自体、不思議なくらいです。

問題は根深い
 市場競争至上主義の“拡大経済”のもとでは、科学技術が発達すればするほど、不思議なことに、人々はますます忙しくなります。市場原理に振り回され、家族の基盤は根元から揺らいでいます。「地域」は息の根を止められかねない状況です。人々は分断され、競争と対立が煽られ、地域紛争は極限に達し、精神の荒廃はとどまることを知りません。それは、産業革命以来、人類が一貫して科学技術を発展させてきた過程で、自らを生きる基盤である大地から引き離し、賃金のみによって“いのち”をあがなうほかない、実に不安定な存在を大量につくり出してきた末路なのかもしれません。

 今、IT革命・バイオ・ナノなどと吹聴される、市場競争至上主義のアメリカ型“拡大経済”の波。その中で翻弄される家族。人間はますます「虚構の世界」に生きることを余儀なくされています。特に成長期にある子供たちは、他の世界を知らないだけに、蒙る被害はいっそう深刻です。

 このような状況と相俟って、今日、経済破綻の危機が迫るにつれて、市場競争・弱肉強食の様相は、ますます激しくなるばかりです。この荒波の中で、家族を守り、人間の尊厳を回復する道は、結局、生きるに必要なものはできるだけ自分の手でつくる、という人間本来の姿に今一度立ち帰り、その地平から、私たち自身の暮らしの根っこに横たわる基盤そのものを、根源的に問いなおす以外にないのではないでしょうか。21世紀をむかえた今、産業革命以来の価値の大転換が求められているのです。

大地に明日を描く
 こうしたいわば「近代の超克」ともいうべき時代認識から出発して、日本の未来構想を試みたのが、“週休五日制による三世代「菜園家族」と流域循環型地域圏”の構想です。つまり三世代家族を基盤に、ワークシェアリングによって、従来型のお勤めは週二日にして、それに見合った安定的な給与所得が保障される地域圏システムの中で、残り五日は家族の再生のために「菜園」、またはその他の自営業にいそしむ、というのがこの構想の骨子です。ますます経営規模拡大化へと突き進む現代の風潮の中で、この「構想」は、これとは逆に人類史上未だかつて実現できなかった家族小経営の素晴らしい高みに到達する試みでもある のです。

 大地から浮遊し、「虚構の世界」にさ迷う家族が、「菜園」や自営のための基盤と自らのための時間を再び自分の手に取り戻し、手にしたその基盤を畑仕事や手作り工芸、さらには子供の教育や文化・芸術活動の素晴らしい舞台に作りかえてゆく。それは、人間復活の「場」を自らのものにしてゆく、精神的に豊かな過程でもあるのです。今おおくの人々が苦しみ悩んでいる子供の教育の問題も、結局は、こうした中でしか根本的な解決は望めないのではないでしょうか。

森と海を結ぶ「菜園家族エリアの形成」
 今こそ私たちは、市場競争至上主義の“拡大経済”に決別し、人間本位の“循環型社会”へと転換しなければならない時に来ています。転換すれば、道はおのずから開かれてくるはずです。偏狭な経済効率主義とはきっぱり手を切り、非効率といわれてきた農業や林業や漁業など、いのちを育む第一次産業を基本に据えて、これを基盤に第二次・第三次産業をも包摂する新しい視野に立つ時、人間本位の思想と論理を貫く可能性はより広がるのではないでしょうか。

 真理は実に単純で明快です。思考を鈍らせているのは、現実に対する幻想と、過去への未練です。森と海を結ぶ流域循環が分断され、都市の過密と農山村の過疎が生み出され、その結果、第二次・第三次産業が絶対的過剰雇用に陥っているというのであれば、その逆の道を辿ればいいのです。

 まず、大都市集中型の企業は、“循環型”社会に見合ったものに縮小・改革され、地方への移転もはかられなければなりません。その上で、地方の中小都市を核にした「菜園家族」のネットワークが築かれてゆくのです。それぞれの流域地域圏では、森や海や山や野や川など、地域の豊かな自然が最大限に生かされ、小さな技術や小さな地場産業が育くまれてゆきます。やがて、森と海を結ぶ心豊かな流域循環型の地域圏が甦り、その土台の上に、21世紀にふさわしい地域が築かれてゆくのです。「構想」の週休五日制のワークシェアリングによって、地方の雇用は2.5倍に拡大されるのですから、水系に沿って、平野部の過密都市から中流域の農村、さらに上流の森の過疎山村にかけて、人口は無理なく還流してゆくはずです。こうして、森と海を結ぶ流域地域圏全体に、週休五日制の「菜園家族」は、やがて定着してゆくことになります。

 週休五日制による三世代「菜園家族」は、森と海を結ぶ流域循環型地域圏再生のまさに担い手であり、主体でもあります。そして、この流域循環型地域圏は、「菜園家族」開花にとって不可欠な「場」でもあり、必要条件にもなっています。ですからこの両者は、不可分一体のものとして築かれなければなりません。これが、森と海を結ぶ「菜園家族エリアの形成」です。このような展望に貫かれた「菜園家族」構想によって、人々は、人間をないがしろにしてきた“拡大経済”から脱却し、おとしめられた人間精神の淵から、やがて人間そのものを取り戻してゆくことになるでしょう。

 

c.リーフレット『菜園家族エリアの形成』(2003年)

 

はじめに
 日本列島を縦断する山脈。この山脈を分水嶺に、太平洋側と日本海側へと水を分け走る数々の水系。この水系に沿って、かつては森と海を結ぶ流域循環型の地域圏が形成されていた。「菜園家族」構想は、分断されたこの流域循環を再生し、流域地域圏の復活をめざす。ここでは具体的に、環琵琶湖圏(近江)を地域モデルにとりあげ、“菜園家族エリアの形成”から、“21世紀・近江国循環型社会”の誕生を展望する。

1.拡大経済から地域循環型社会へ
 時代認識を誤らずに
「菜園家族」構想 〜人が大地に生きる時〜

2.森と野と湖を結ぶ循環系
 民話『幸助とお花』の世界より〜循環の思想〜
 森の民,野の民,湖の民

3.〜森と琵琶湖を結ぶ〜流域循環型地域圏モデルの設定
 Aモデル:「犬上川・芹川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Bモデル:「安曇川 ∽ 比良山地」流域循環型地域圏モデル
 Cモデル:「石田川・知内川 ∽ 野坂山地」流域循環型地域圏モデル
 Dモデル:「大浦川・余呉川 ∽ 野坂・伊吹山地」流域循環型地域圏モデル
 Eモデル:「高時川・姉川 ∽ 伊吹山地」流域循環型地域圏モデル
 Fモデル:「天野川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Gモデル:「愛知川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Hモデル:「日野川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Iモデル:「野洲川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Jモデル:「草津川・大戸川 ∽ 鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル
 Kモデル:「天神川・瀬田川 ∽ 比良・鈴鹿山脈」流域循環型地域圏モデル

 ※市町村合併問題は、上記の流域循環型地域圏モデルA〜Kに則して検討してみる必要がある。

4.犬上川・芹川流域(Aモデル)の現状
 森の過疎化(空き農家)
 平野部(中小都市)の衰退
 山が動く 〜大君ヶ畑の拠点、人々の幽かな動き〜
 野の動き 〜甲良町・北落の動き〜 等々

5.流域地域圏の基盤に「菜園家族」を
 まずは「菜園家族」による過疎山村の復活から
 農・林・漁業の担い手の創出
 深刻な過剰雇用の解決
 流域地域圏の生産と生活の「共同性」の確立
 (第1次元にあらわれる「菜園家族」を基礎単位に、第2次元の隣保共同体「くみ」、第3次元の村落にあらわれる「村協同組合」、第4次元の流域地域圏にあらわれる「郡協同組合」へと重層化。流域地域圏は共同性を高めつつ、自由闊達で豊穣な団粒構造に熟成。)

 生産と生活の「共同性」に見合った新しい「自治体」の再編強化

6.流域循環型地域圏成立の前提
 税制の抜本的改革による地方自治体の財政自治権の確立
 地域政策投資 = 国・地方自治体の「菜園家族」インフラへの的確な公共投資
 住民・地域企業・行政の連携(週休5日制によるワークシェアリング等の推進)
 公共“土地バンク”(農地・山地の有効活用に資する)の設立
 地域通貨
 コミュニティーバンク(地域融資・地域投資の新しい形態)
 農・林・漁業の復活と地域産業の育成
 地域循環型流通の開発(青空市場・商店街・街並みの再生 等々)
 コミュニティービジネス(第4セクター)の創造
 自然エネルギー(森林資源・太陽光・風力 等々)の研究開発と活用

7.流域循環型地域圏の基盤形成(第1段階〜山から始まる)−Aモデルの場合−
「犬上川・芹川∽鈴鹿山脈」(彦根市・多賀町・甲良町・豊郷町の1市3町)
 森を甦らせる
 水は高きから低きへ流れる
 伝統的林業の再評価(営林・炭焼き・製材・木工・木造民家と木造施設の建築 等々)
 山村居住空間の再評価と強化整備
 山の幸の再評価
 既存林道の強化整備
 衰退集落・古道の再生
 新規拠点集落の創設・拡充
 蹄耕法による尾根づたい高原牧場の形成(営林〜針葉樹から落葉広葉樹・照葉樹への改造)
 川・湖の漁業基盤の強化整備
 自然エネルギーの開発・活用

8.森の「菜園家族」−Aモデルの場合−
 森の「菜園家族」形成
 (菜園、水田、林業、高原放牧、果樹、茶畠、養鶏、養蜂、狩猟・採取、食の調理・加工・保存、天然素材道具・容器、木工家具、手工芸等々、家族構成に適合した多様な組み合わせを選択し、多品目少量生産の自立した家族複合経営を確立する)

 高原牧場へのモンゴル遊牧方式の創造的適用
 (ヤギを基軸に牛・馬の群れ管理・放牧・乳加工)

 春夏秋営地−冬営地
 魅力ある森の暮らし(山に伝わる衣・食・住文化の再生と現代への創造的活用)
 子供が育つ地域(分校の再建〜山村地域の文化・教育の拠点として)
「森の匠の学校」(森の後継者養成・都市からの山村留学)
 医療・保養・レクリエーション拠点の創設
 (地域診療・森林浴癒しの宿場・茶屋−売店・山菜料理・チーズレストラン 等々)
 森の文化・芸術の創造
 21世紀型グリーンツーリズム
 (都市との交流の接点として、これを副次的に一部導入し、都市との協調をはかる)
 変わりゆく森の景観

9.鈴鹿山中に根づく「菜園家族」,森の多面的機能の創出−Aモデルの場合−
 鈴鹿の山なみは、本来もっている雄大な自然とあいまって、山岳・田園の牧歌的で美しい景観へと変貌してゆくであろう。21世紀型グリーンツーリズムは、都市から山里への人々の動きに道を拓くことにもなる。

10.流域循環型地域圏(Aモデル)、新たな段階へ(第2段階〜山から野へ)
 (第2段階は、第1段階と一部併行して実行されるのであるが、平野部では、この第2段階において本格的に取組まれることになる。)

「菜園家族」、鈴鹿山中から犬上川・芹川づたいに平野部へ
「菜園家族」による流域平野部の米作・畑作および川・湖漁業の再編復活
 森の民と野の民の循環交流の促進
 彦根など中小都市を核に広がる森と野の「菜園家族」ネットワーク
 地域経済・文化の拠点として繁栄する平野部の中小都市
 城下町としての歴史的景観の保全・商業・業務機能と調和した都心居住の整備
 (都心部の拠点駐車場の設定とこれにつながる自転車網の整備)
 郊外大型店舗の規制と街並み・商店街の再生
「菜園家族」を基礎単位に重層化する団粒構造の共同性−地域圏全域に熟成

11.近江国循環型社会
 流域循環型地域圏A〜Kの多極自立化
 流域循環型地域圏間の連携
 近江国広域圏の一体性

12.近江が変われば、日本が変わる,日本が変われば、世界が変わる
 〜「菜園家族」をベースに流域循環型地域圏が甦る時〜

まとめ  21世紀への挑戦

 

d.学校通信〜森と湖を結ぶ〜 菜園家族だより』
               (各回の報告、2003〜2004年)

                   詳しくはこちらをご覧ください。

 

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