5月には緊急提言を、そして今回、メモランダムを拝読させていただきました。

　緊急提言では、この震災を価値観の転換をはかる好機とせねばならない感を深くいたしました。
　とくに、市場原理主義からの脱出、科学崇拝主義からの離脱は至上命令でしょうが、それを現実の政治の場にどう反映させていくかが、次の課題となるように思われます。

　メモランダム、すみずみまで共感されるものばかりで、深く首肯されます。
　詰まるところは、経団連が動かす政治構造から、市民が早く逃れて脱出することでしょうが、それは在る所まで行けば、雪崩現象となるのではないか、という予感があります。

　緊急提言とメモランダムを併せて拝読致しました。
　緊急提言には、今日の事態への対応として、本当に必要なことが、幾つも提起されていると思います。

　一方、メモランダムに「諦念と反転への思いが錯綜する」と書かれてあるように、財界やそれに沿う形で活動する人々やそれを許している現状への批判や苛立ち、それを何とか越えて先を見通そうとする希望が綯い交ぜになっているようにも感じました。
　2011年の３・11は、分水嶺になってしかるべきですが、1945年の８・15でさえ、クリアな分水嶺にならなかったのではないか、という思いがあります。
　欲望自然主義や安楽への全体主義等の言葉でとらえられてきた僕達日本人の精神文化の問題です。

　つい先日、『インサイド・ジョブ』という映画を見ました。
　アメリカの狂ったようなマネー資本主義を描いたドキュメンタリーです。
　レーガンからオバマの時代までをとらえ、オバマの政府でも変わらない可能性を伝えていました。
　それでも終わりには「闘う価値はある」とアメリカ人らしいナレーションが入ります。日本人も日本的なやり方で対応すべきでしょう。

　ごぶさたいたしております。
　こちらはボチボチと畑仕事に取り組んでいるところです。
　先般ご案内した原発震災を防ぐ全国署名の活動は、巨大地震想定域にある浜岡原発全機の運転停止を働きかけるもので、以前より長きにわたって続けられてきたものです。私も皆様にもう少し広く署名のお願いの呼びかけをしようと考えていたところ、今回の大震災が起きました。
　自分にできることの一つとして、今、この期を逃さず、少していねいに、そして冷静に、現代生活を見直すことをしてもらえるような活動があるんじゃないかと、考えさせらています。

　里山研究庵のホームページ、拝見しました。
　悲惨な犠牲の上にではあるけれども、今、まさにむき出しになろうとしているこの国の本質的な問題を前に、私達国民は聞こえのよいキャッチフレーズに惑わされることなく、正面からそれに取り組む決意を持たなければならないと思います。
　いずれ破綻するにちがいない成長神話、根拠のない原発安全神話の上に立つ日本、いえ、人間という生き物は、その誕生の時から常にそういう進化を望み、「ここ」を、そしてこの先を目指してやってきたのかもしれません。
　けれども、私達のこの時代で、ついに行き着くところまで来てしまいました。そして、この時代を生きる私達は、人類の価値を決める大きな決断を迫られているように思います。単純な成長ではなく、本当の意味で「今」を大切にする世界をめざすことができるかどうか、試されているのではないでしょうか。
　被災地の復興も、まず、生身の人間を中心にすえたものであってほしい。復興までの過程も、常にそのことを大切にしてもらいたいと思います。

　まさに今、この国に必要なのは、土地に根ざし、家族に支えられ、人々がシェアしあう菜園家族の発想であると確信します。しかし、これまでの「常識」にがんじがらめになっている人々の頭と心をほぐすには、どうしたらよいのでしょうか。
　今はただ、コツコツと少しずつでも動いていこう、動くことでひらけることもあるのではと、そこに期待をかけています。自分自身の生き方を問い直しながら･･･。
　自分の生き方、暮らし方を、色々な意味で原点に戻って見直したいな、という思いで、以前、何度か続けていた手づくりの通信紙、しばらく中断していましたが、今回、改めて始めることにしました。書きながら、実は、自分の頭の中を整理している次第です。