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Nomad image大学での講義 (伊藤恵子 担当)

a.「モンゴル遊牧地域講義」大阪大学外国語学部
                  (2010年度〜)

 2010年度から、大阪大学外国語学部(旧 大阪外国語大学)にて、モンゴル語専攻の学生を対象に、「モンゴル遊牧地域講義」の授業を担当しています(伊藤恵子)。
(なお、2008および2009年度は、「モンゴル社会演習I」という科目名でした。)
 内容は、以下のような予定です。

 モンゴル遊牧地域講義a(前期)
講義題目  モンゴル遊牧地域から人間の生きる原点を見つめ直す
授業の目的
 2008年のアメリカ金融危機に端を発する、100年に1度とも言われる世界同時不況は、今、私たちに、これまでの生産と暮らしのあり方を根本から考え直すよう迫っている。           
 この授業では、現代日本の私たちとは、いわば対極にあるモンゴル遊牧地域の暮らしから、あらためて人間の生きる原点を見つめ直す。           
 そのために、市場経済への移行という激動期のただ中に研究調査をおこなった、バヤンホンゴル県ボグド郡の山岳・砂漠の村ツェルゲルという一つの具体的な遊牧「地域」を題材としてとりあげ、その四季折々の自然と、そこに生きる人々と家族の姿、伝統的遊牧共同体の復活、地域再生への模索、その歴史的背景などから、じっくりと多角的に考えてゆく。
授業計画
 下記の2つの映像作品を順次、鑑賞し、解説を加えるとともに、対話を通じ、理解と考察を深めてゆく。           
(1)私たちはどのような時代に生きているのか           
 映画『モダン・タイムス』(監督・主演:チャールズ・チャップリン、1936年)から考える           
(2)人間のいのちを支える「自然」・「家族」・「地域」
 1992年秋から1年間にわたる住込み調査に基づいて制作したドキュメンタリー映像作品『四季・遊牧―ツェルゲルの人々―』(監督・撮影 小貫雅男、編集 伊藤恵子)から考える

 『四季・遊牧』(三部作、全6巻、7時間40分)の構成
  第I部 厳冬に耐える ―再生への模索― 1992年秋〜冬
  第II部 春を待つ、そして夏 ―試行を重ねる― 1993年早春〜夏
  第III部 忍び寄る秋 ―歓喜、そして思索― 1993年盛夏〜晩秋

             ※注)受講生がすでに全編を鑑賞している場合は、
                ダイジェスト版(3時間20分)にすることがある。

 モンゴル遊牧地域講義b(後期)
講義題目  モンゴルと日本の「地域」から探る21世紀の未来社会像
授業の目的
 市場経済への移行からおよそ20年、今、モンゴルは、グローバル化の波の中、首都への人口集中、格差拡大など、経済・社会の様々な困難を抱えている。
 この授業では、まず、前期の「モンゴル遊牧地域講義a」の内容をふまえ、その後のツェルゲル村の姿を辿りながら、これらの諸問題について、今一度、原点に立ち返って、遊牧地域からの視点で考察し直し、現在のモンゴルの国づくりの基本理念を見つめ直す。
 同時に、熾烈なグローバル市場経済の渦の中、ますます混迷の度を深めている日本の私たち自身の今を、「地域」の視点から考えてゆく。
 それは、モンゴルと日本を複眼的に捉えながら、人間にとって、「自然」とは、「家族」とは、「地域」とは一体何なのかを根源的に問いつつ、21世紀にめざすべき新しい未来社会像を探ることになるであろう。
授業計画
 主に以下のような内容に沿って、講義と対話を通じ、理解と考察を深めてゆく。
  (1)遊牧「地域」の“自立と共生”を切り崩す市場原理
  (2)岐路に立つモンゴル〜国土開発計画の考察〜
  (3)現代工業社会と人間〜世界経済の破局的危機の中であらためて考える〜
  (4)私たちの「地域」は今〜日本の過疎山村・大君ヶ畑(滋賀県鈴鹿山中)から〜
  (5)「菜園家族」構想〜21世紀、自然循環型共生社会への展望〜
  (6)「地域」研究と未来〜モンゴルと私たちを結ぶもの〜
テキスト
  小貫雅男・伊藤恵子『菜園家族21―分かちあいの世界へ―』(コモンズ、2008年)
  小貫雅男・伊藤恵子『菜園家族物語―子どもに伝える未来への夢―』(日本経済評論社、2006年)

b-1.「平和の経済学」立命館大学経済学部 (2010年度〜)

 2010年度後期から、立命館大学経済学部・藤岡 惇先生と共同で、下記のような授業をおこなうことになりました(伊藤恵子)。
経緯の詳細は、こちらへ。 伊藤担当分課題レポートの講評は、こちらへ。)

 平和の経済学(後期)
授業の概要
 平和な世界の建設は人類の夢です。「核の時代」とは、この夢を実現させないかぎり、人類のほうが絶滅するという時代にほかなりません。
 この講義では、戦争や暴力の横行しやすい社会のしくみとは何かを解明し、そのうえで平和な人間関係・国際関係を構築するための社会的・経済的な基盤をどう作ったらよいかを考えます。
 その際、各地域や各国の積極的事例を吟味したり、市民団体や国連による模索を手がかりにしていきます。
到達目標
 1)今日世界の各地で、自然にたいする戦争、頭脳による身体への暴力、校内暴力から貿易戦争にいたる各層・各領域において紛争・戦争が生み出されているが、その大きな相関図を描けるようになる。また戦争の生まれるしくみのなかで経済がどのような役割を果たしているのかも理解する。
 2)暴力の素や憎悪の素の発生しにくい「健康な経済」とは何であり、どうすれば、このような経済を形成できるのかについての大きな「曼荼羅」図が描けるようになる。
 3)「平和な世界」の建設が経済的に成り立つことを理解するだけでなく、現実主義の見地から平和の創造に集団的に取り組んでいくための経済学的な知恵と勇気とを獲得する。
 4)家庭・地域から日本・世界にいたる、どのようなレベルにおいても、平和で健康な人間関係を形づくっていけるスキルと人格を形成する第一歩を踏み出す。
授業の展開計画
I.そもそもの本質を探ろう (藤岡 惇)
  (1)宇宙進化のなかのヒト(自我)の位置
  (2)自然と社会、政治、経済
    〜バランスのとれた人間中心の経済開発〜
II.「核の時代」の戦争と平和 (藤岡 惇)
  (3)第2次大戦・原爆投下と核の時代の開幕の意味 
  (4)冷戦のもと帝国主義がなぜ儲からなくなったのか
    〜軍縮の経済学のモデルとしての日本〜
  (5)「ソ連型社会主義」とは何であり、なぜ滅んだのか 
  (6)冷戦後の世界
    〜紛争の激化はなぜ?、9・11事件の意味〜       
  (7)軍産複合体の開発した新型戦争
    =宇宙ベースの「ネットワーク中心」型戦争とアフガン・イラクの泥沼化
  (8)米国発の世界恐慌はなぜ起こったのか
III.平和の地域・家族的基盤を探る (伊藤恵子)
  (9)私たちはどんな時代に生きているのか(その1)
    〜今問われる人間の存在形態〜
  (10)私たちはどんな時代に生きているのか(その2)
    〜今問われる人間の存在形態〜
  (11)人間の生きる原点としての自然・家族・地域
    〜モンゴル『四季・遊牧』の世界、「開発」・「発展」との相克の中で〜
  (12)「脱成長」の経済・社会への胎動
    〜人間復活・地球環境との調和をめざして〜
  (13)21世紀、日本型・自然循環共生社会への道
    〜週休五日制のワークシェアリングによる「菜園家族」構想〜
IV.平和の経済的基盤を探る (藤岡 惇)
  (14)世界各地の成功例の教訓、日本の歩む道
  (15)平和の経済的基盤をどう広げるか
    〜黒と緑とピンクのニューディールの可能性〜
テキスト
  藤岡 惇 著『グローバリゼーションと戦争―宇宙と核の覇権めざすアメリカ ―』(大月書店、2004年)
  小貫雅男・伊藤恵子 著「菜園家族宣言―静かなるレボリューション―」(里山研究庵NomadホームページにPDFファイルを掲載中、2010年)

b-2.「平和の経済学」立命館大学経済学部 (2009年度前期)

 立命館大学経済学部・藤岡 惇先生の研究休暇に伴い、2009年度前期は、池尾靖志先生と共同で、下記のような授業をおこなうことになりました(伊藤恵子)。

 平和の経済学(前期)
授業の概要
 平和学は、「学際的」な学問である。戦争がなぜおきるのか、という点をとっても、戦争をするための政策立案、国際法を遵守した戦争形態、戦争をするための経済システム、国民の戦意発揚をねらったナショナリズムの鼓舞といったように、多面的な面を持ち、さまざまな学問領域がその解明にあたっている。
 この講義では、平和学に対する経済学的アプローチをみていくなかで、私たちが「平和」のつくり手となるためには、どのような手だてがあるのかを考えよう。
到達目標
 1)経済学の考える「人間像」を改めて振り返り、現在の経済システムと平和の主体形成との結びつきを考えることができるようになること。
 2)さまざまな考え方があることに目を向け、自分の意見を相対的に捉え、かつ論理的に表現できるようになること。
 3)社会の出来事に対して敏感になること。
授業の展開計画
以下(1)〜(8)まで池尾先生担当
  (1)平和学の経済学的アプローチ
    〜学際的、合理的選択、戦争、暴力、平和〜
  (2)戦争を支える経済システム(その1):冷戦期
    〜軍需産業、軍産複合体〜
  (3)戦争を支える経済システム(その2):冷戦後
    〜移行経済、小型武器〜 
  (4)グローバル・アパルトヘイト(その1)
    〜累積債務問題〜
  (5)グローバル・アパルトヘイト(その2)
    〜新自由主義〜 
  (6)グローバル・アパルトヘイト(その3)
    〜アジア通貨危機、ワシントン・コンセンサス〜       
  (7)グローバル・アパルトヘイト(その4)
    〜トービン税、マイクロ・ファイナンス〜
  (8)地域の自立と脱軍事化―沖縄のケースから
    〜地域自立の経済学、産業連関表〜
以下(9)〜(14)まで伊藤担当
「平和の経済」を支える「地域」基盤を探る
  (9)私たちはどのような時代に生きているのか
    〜終末期をむかえた“浪費が美徳”のアメリカ型「拡大経済」〜
  (10)人間の生きる原点を見つめなおす
    〜モンゴル『四季・遊牧』の世界から考える「自然」・「家族」・「地域」 〜
  (11)「地域」の“自立と共生”を切り崩す市場原理主義グローバル経済
    〜冷戦後のモンゴルに見る〜
  (12)私たちの「地域」は今
    〜滋賀県鈴鹿山中の過疎集落・大君ヶ畑から〜
  (13)21世紀、日本型・自然循環型共生社会への道
    〜週休五日制のワークシェアリングによる「菜園家族」構想〜
  (14)  同上 (その2)

  (15)2人の講師による総括
    〜平和学の今後、持続可能な社会〜
テキスト
  安斎育郎・池尾靖志 編『日本から発信する平和学』(法律文化社、2007年)
  小貫雅男・伊藤恵子 著『菜園家族21―分かちあいの世界へ―』(コモンズ、2008年)

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